2018年06月26日(火)

ZX-12R B2 フロントフォーク整備

ZX-12R B2 メンテナンス整備 フロントフォーク編
 
 
 2000年に販売が開始されたZX-12R。発売当初はノーマルで300km/hを超えることができる世界最速の車両としてメガスポーツタイプのトップに君臨。販売店にライディングスキルの確認を要求したとも言われるパワーマシンです。
 
 
今回はそのZX-12Rのフロントフォーク周りのメンテナンス整備です。
 
 
 このB2は発売が2003年から。15年経過していて個体差はありますがそれぞれにいろいろなところのメンテナンス整備が必要になってくる年頃です。
フロントフォークのメンテナンスなので、スタンドを立て早速作業にとりかかります。
インナーチューブのサビの修理
 
 
取り外したフロントフォーク。
一見綺麗に見えますが、よく見るとかなりダメージが見られます。
 
 
 
フォークをばらし、各所を確認していきます。
 
 
インナーチューブとボトムケースのクランプジョイント部分の拡大写真です。
汚れを落とし綺麗になっていれば鏡面に輝いていなければなりませんが、表面が波模様になっています。
これは、飛び石などで傷ついたメッキから侵入した水分によって内部で金属の腐食が進み凸凹となって出て来ている状態です。
表面からの補修をすることは不可能なうえに、腐食は進む一方ですので交換が必要になります。
 
 
今回使用する交換パーツと工具の一部。サスペンションのオーバーホールにはこのほかにも専用の治具が必要になります。
フォークシール、スライドメタル・ブッシュ・スペーサー類、フォークオイル。
 
 
少し引いた写真で見ると、メッキの鏡面加工の反射に歪みがみられます。
走行の際にストロークするフロントサスペンション。スライドメタルによって支えられている部分に荷重がかかり磨耗していってしまいます。
スムーズな動きが求められる部分に歪みがあってはなりません。
 
 
このZX-12R B2型は車両の生産終了してから年数が経過し純正パーツを入手することができません。
フロントフォーク・インナーチューブ・パーツは本来非分解部品ですが今回はインナーチューブをチタンメッキしたインナーチューブと交換します。
 
 
交換装着完了。
写真ではすぐですが作業には細心の注意と配慮をして行なっています。
 
 
この車両は、どこかでフォークのメンテナンスを行っている形跡が見られました。
ダストシールを剥がす際に工具による痕跡でしょうか。アウターチューブのエッジ部分に傷が入ってしまっています。
このままダストシールを取り付けてしまうと、傷のささくれが影響を及ぼすかもしれませんので、滑らかにしておきます。
 
 
以前のメンテナンスの際に、フォークを脱着する際についた傷でしょうか。
クリアランスがほとどなく緊結する必要がある部分なので、脱着はスムーズにできないので、ねじりながら引き抜いた跡が残ってしまっています。
クリアランスを作りスムーズに脱着する一手間を惜しんでしまった様です。
 
 
組み上げてフロントフォークパーツの完成です。
稼働するとこをはスムーズに動くことが最低必須条件です。
 
 
車両に組み付けて完成です。
ゴールドの輝きがかっこいいですね。
 
 
 組み上げて完成ですが、その後のメンテナンスにもより良いコンディションで乗り続けていただくためにもお願いがあります。
 今回のフロントフォークの様なクリアランスの少なく精密な部品は特に、組み付けの際にスムーズに行うためにシリコンなどの潤滑剤を使用したりしている部分もあります。
 組み込み組み上げが終了してから余分な部分は極力拭き上げ清掃をおこなっていますが、取りきれないものは染み出て来たりなどします。
 インナーチューブに滲み出て来たシリコンなどに汚れが付着して、ストロークの際にダストシールやインナーチューブなどに傷をつけてしまってはせっかく交換した意味がなくなってしまいます。
 スムーズに動くように、汚れが付着しないようにメンテナンスをお忘れなく。拭きすぎて表面仕上げ加工に影響がない様にも気をつけてください。
 
 
 10年を超えまだまだ現役のZX-12Rに共通して言われているのが、燃料ホースとハーネスの交換。それぞれとても重要なパーツです。
 燃料ホースの劣化は燃料漏れによる車両火災の可能性があり一つ間違えば文字通りの火の玉になってしまいますので交換をお勧めします。

2018/06/26 22:58 | 整備日誌♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年06月19日(火)

初代デモ車 レストア PART1

初代デモ車 レストア PART1
 
サンコーカワサキでは、たまーにデモカスタム車を作成してきました。
その中で、初代デモ車を数年ぶりに蘇らせるプロジェクトが始動しました。
 
しばらくの間、お休みになっていたので、樹脂系、液体系は基本的に全バラ全交換を行いました。
せっかくのオーバホール。このタイミングでメンテナンスを次々と行いました。
例えば、ハーネスの交換。フレームに沿って張り巡らされている配線の交換はなかなか行うタイミングはありません。
電線も酸化によて腐食・劣化してしまいます。最悪の断線に至らないにしても、接触不良や通電率の低下によって電子機器が正常に動作しなかったり熱を持ってしまったりなど、なにかしらのトラブルを招いてしまいます。
あれ?エンジンがかからない。。。なんて事にならないように。。。ハーネスも経年劣化してしまうパーツのひとつです。長年付き合っている相方と、これからもまだまだ長く付き合うためにも、何かのタイミングで交換を考えてみてください。
ハーネスに限らず、樹脂系のホースやシールなどもお忘れなく。

で、こちらのデモ車もタペットの調整などエンジンを開けたタイミングで行えること、そしてシールの交換を行いました。
 
 
ジェネレーターやミッションカバーを取り外しクリーニング。基本的にきれいです。
オイルシール、スプリング類の交換をしてしっかり組み付けを行います。
 
 
エンジンを動かす要の発電器(ジェネレーター)年式がある程度行っていて手に入らなくなるパーツのひとつです。
予備部品として確保していたジェネレータに交換しました。
 
 
細かな部品類も交換。
 
 

このZRXの弱点でもあるパイプトラス型に補強したスイングアーム。強いけどとにかく重い。
 
 
そのスイングアームをOVER社製のものと交換します。軽量化。
 
 
リヤサスはオーリンズ社製。装着していたものオーバーホールにだして装着。
 
 
しっかりと清掃・グリスアップしホイルベアリングも交換
 
 
マフラーはアクラのフルエキを装着
 
 
チェーンやスプロケットも交換しました。
 
 
そして、外装を組み上げていきます。
 
 
つづいてフロント周りですが、こちらは次回!

2018/06/19 10:00 | カスタム♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年06月12日(火)

ZX-10R フルエキ吊付け

ZX-10R S型 フルエキ吊付け
 
少し前にミッションのリコール修理記事(続・ZX-10R リコール修理 PART2)で登場しましたZX-10R。
レーシングカウルが装着されよりコース専用車両となっています。
さらに、今回はそこにマフラーを装着します。
 
 
アクラポヴィッチのエボリューションライン フルエキゾースト。
オールチタン製で純正より 5.4kgの軽量化。同じ形状でステンレスパーツを使用したレーシングラインより 1.5kgも軽量化されています。
 [アクラポヴィッチ ZX-10R 2016- Racing Line (Carbon) Evolution Line (Carbon) ]
 
 
軽量化もされかなりタイトな取り回しになっています。
隣接するホースなどに接触伝道や放射熱での影響が出ないように耐熱対策を施しておきます。
 
 
とても軽く、やる気を感じるポートの大きさなど純正と異なる形のエキパイから組み付けていきます。
 
 
カウリングに収めてしまうとせっかくのチタン製エキパイがかくれてしまいます。
 
 

今回はA-TECH製のアンダーカウルを装着するため、少し取回し加工をして収めました。
 
 
チラ見えできるチタンのエキパイ。

2018/06/12 10:00 | カスタム♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年06月05日(火)

ETC断線

ETCアンテナ配線破損
 
 最近ではNinja1000などの車両には標準でETCユニットが搭載され、普及が進んでいるETC。
 二輪車に搭載されるようになってからはしばらく経ちます。
 料金所で停車し通行券を受け取ったり、料金を支払ったり。収納方法に制限の多い二輪車では料金所で時間がかかってしまいます。
 ETCを搭載していれば、スムーズにゲートを通過でき、料金所で変に緊張して慌てることもありません。
 
 
 しかし、そんな便利なETC。正常に稼働しないと、かなり恐ろしいことになります。
 不具合が発生しゲートが開かない時、二輪車が通り抜ける隙間はありますが、少しでもズレようものなら転倒は免れません。
 ギリギリ止まっても追突されたりしてしまうことが考えられます。危険です。
 
 
 ETCのセットアップは専門のお店で行う必要がありますが、セットアップされた機器を車両に搭載するのはさほど難しい作業ではありません。
 個人でネットショッピングで購入して取り付けたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 電源はここから、アンテナはここに取り付けて、本体はここに。。。などと、二輪車は収納部分がとても少ないので設置や配線の場所はとてもとても考える必要が出てきてしまいます。
 
 
 配線はそれぞれの機器を接続する重要な役割があります。
 本体に電源を供給する配線や、アンテナで送受信する信号線などがあります。一方、車両の方にはエンジンのような熱を帯びる部分もあれば、ハンドル周りなど動く部分もあります。
 また、できる限り配線を見えなくして綺麗に収めたい場合などは、カウルの中を通し、隙間から配線を取り出したりなどを行います。
 その時カウリングの召し合わせ部分にケーブルが噛んでしまったり、振動や動きで食い込んでしまったりなどで断線してしまうとETCが正常に機能せず、料金所でとてもとても怖い思いをしてしまいます。
 
 
 装着してそのままになってしまいがちな機器ですが、なにかのタイミングで配線は大丈夫かどうか確認してみてください。
 隙間からの配線の取り出しはその部分で干渉しないように、断線しないようにしてください。

2018/06/05 10:00 | 車検・修理! | コメント(0) | トラックバック(440)

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2018年06月01日(金)

ACG出力チェック

 ACG出力チェック 充電不良
 
 エンジンを動かすために必要不可欠な電気。当然です。
 単純にプラグで火花を飛ばしてガソリンを爆発させるだけでなく、ライトやウィンカーの点灯、車両によってはガソリンを空気と混ぜて送り込むインジェクションや燃料ポンプ。
 最近の車両にはいろいろなデータを測って制御するECUなどは、すべて電気がないと動かすことができません。電気がなくてそれらが動かないと当然エンジンはかかりませんし、走ることができません。
 
 バイクもエンジンの力を利用して発電しバッテリーに蓄えながら使っています。
 バイクを長期間乗らないと、バッテリーからイモビライザー(長時間で自動的にOFFになるのもある)など実装機器で使用する微弱な電力と自然放電でバッテリーに蓄えてある電気容量を使い果たし、エンジンがかからない。いいわゆるバッテリー上がりになってしまいます。
 実は、バッテリー上がりはそれでけで発生するわけでわありません。
 エンジンの力を利用して発電をしているのですが、その発電容量が利用電力容量を下回った状態で乗っていると、徐々にバッテリーに蓄えている電力量を使い果たし、結果、バッテリーが上がってしまいます。
 
 今回のこの車両、ACG(交流発電器)の不具合によってレギュレーター(整流・制圧器)の不良となり正常に充電ができなくなっていました。
 
 対象部品の不良状況、改善結果を確認するために計測機器、デジタルオシロスコープを用いて確認します。
 
 こちらは交流発電機の発電状況の計測。
 
 こちらはレギュレータから出力される直流電源の測定状況。
 
 
 車両のバッテリーがどこに積載されているか知っていますか?
 バッテリーも消耗品です。普段エンジンをかけていなくても劣化は進んでいます。
 乗りたい時に安心して乗れるようにメンテナンスは忘れないでください。
 乗り始めは調子よくエンジンがかかったのに、休憩して走り出そうとしたらエンジンがかからない。。。なんて、、、
 発電器がしっかり発電していないことや、発電していてもバッテリーが貯められていないことなどがあるので注意してください。
 
 

2018/06/01 10:00 | 車検・修理! | コメント(0) | トラックバック(0)

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