Z1000F型 ミッションオーバーホール 2003年にZR1000Aとして再誕したZ1000。このF型はその5代目として2014年に発売されました。 今回はミッションのオーバーホール。以前ご紹介したZX-10Rミッションリコール修理 http://www.sanco-k.com/index.php?p=&d=blog&c=&type=article&art_id=48 http://www.sanco-k.com/index.php?p=&d=blog&c=&type=article&art_id=56 http://www.sanco-k.com/index.php?p=&d=blog&c=&type=article&art_id=59 と似た作業なのですが、ちょっと大掛かりです。 ZX-10Rはカセットミッションのため、クラッチカバー・クラッチを取り外しミッションユニットのメンテナンスができましたが、Z1000はエンジンを下ろすところから始まります。 P6100025.JPG 「エンジンを下ろす」と、文字にして8文字ですがかなりの作業が必要です。 外装、シート、タンク、マフラー、ゼネレーター、ラジエターなどなどエンジンにつながっているものすべてを取りはずします。 P6100027.JPG B P6100028.JPG R P6100029.JPG L エンジンを下ろし、オイルパンを外した状態。 中央の写真はちょうどエンジンを下から見た状態なので逆さまになっています。 上の方がクランクシャフト側。下の方がミッション側になります 左右の写真で、ミッションシャフトの中心を境にエンジンケースに筋が見えます。この位置でエンジンケースを開けるとミッションが現れてきます。 P6100031.JPG P6100030.JPG ケースを開けてミッションを露呈した状態が右の写真。左はクランクシャフト側。 P6100034.JPG P6100032.JPG ようやく現れたミッションを細かく確認していきます。 P6100035.JPG P6100036.JPG P6100037.JPG シフトフォーク部分。 中央の拡大写真でよく見えますが、削れている部分とバリが立っている部分があるのがわかります。 開店しているものが擦れて削れてしまい、その影響でバリがでてしまっています。 P6100039.JPG P6160040.JPG P6160041.JPG さて、ミッションをばらしていきます。 ギヤチェンジを行うと、シフトドラムが回転しその角度に合わせてシフトロッドをガイドとしてシフトフォークが移動します。 シフトフォークが移動することによってギヤシャフトに緊結されていないギヤがスライドし、緊結されているギア側面にある突起(右の写真)と噛み合うことで回転動力を伝えていく仕組みになっています。 ローギヤに入れる時、カツンとくる衝撃はそのギヤ側面の突起と相手側のギヤと噛み合った時に生じるものです。 P6160045.JPG P6160048.JPG 今回のオーバーホールの目的はこれ。 左の写真では突起が噛み合う部分の角が削れてしまっています。そして相手となる突起の角も削れているのが右の写真。 このような状態ではギヤが入っても入りきらず抜けてしまったりしてしまいます。 しっかりシフトチェンジが終わっていない状態でエンジンのトルクをかけてしまったりを繰り返してしまうとこのような状態になってしまいます。 P6160052.JPG P6160053.JPG 不具合が起こっているギヤを交換していきます。 左が古いギヤで右が新品のギヤ。 P6160055.JPG 組み上がったアウトプット側ミッションです。 P6170057.JPG P6170058.JPG P6170060.JPG こちらはシフトフォーク。交換します。  スムーズに動かなくてはならない部分がこうなってしまっては本来の動きができなくなってしまうと同時に、工業製品には自然治癒能力はないので、放置しておくと悪化することしかありません。  なにか異常なことがあったら確認のための点検をするようにしてください。  そして、なによりも日頃のメンテナンスが重要です。定期的な清掃やオイル交換などのメンテナンスをお忘れなく。