2018年07月31日(火)

Z1000F型 ミッションオーバーホール

Z1000F型 ミッションオーバーホール
 
2003年にZR1000Aとして再誕したZ1000。このF型はその5代目として2014年に発売されました。
 
 今回はミッションのオーバーホール。以前ご紹介したZX-10Rミッションリコール修理[1][2][3]と似た作業なのですが、ちょっと大掛かりです。
 以前のZX-10Rはカセットミッションのため、クラッチカバー・クラッチを取り外しミッションユニットのメンテナンスができましたが、Z1000はエンジンを下ろすところから始まります。
 
 
「エンジンを下ろす」と、文字にして8文字ですが、実際はかなりの作業内容となります。
外装、シート、タンク、マフラー、ゼネレーター、ラジエターなどなどエンジンにつながっているものすべてを取りはずします。
 
 
 
 
エンジンを下ろし、オイルパンを外した状態。
中央の写真はちょうどエンジンを下から見た状態なので逆さまになっています。
上の方がクランクシャフト側。下の方がミッション側になります
左右の写真で、ミッションシャフトの中心を境にエンジンケースに筋が見えます。この位置でエンジンケースを開けるとミッションが現れてきます。
 
 
 
ケースを開けてミッションを露呈した状態が右の写真。左はクランクシャフト側。
 
 
 
 
ようやく現れたミッションを細かく確認していきます。
 
 
 
 
シフトフォーク部分。
中央の拡大写真でよく見えますが、削れている部分とバリが立っている部分があるのがわかります。
回転しているものが擦れて削れてしまい、その影響でバリがでてしまっています。
 
 
 
 
さて、ミッションをばらしていきます。
ギヤチェンジを行うと、シフトドラムが回転しその角度に合わせてシフトロッドをガイドとしてシフトフォークが移動します。
シフトフォークが移動することによってギヤシャフトに緊結されていないギヤがスライドし、緊結されているギア側面にある突起(右の写真)と噛み合うことで回転動力を伝えていく仕組みになっています。
ローギヤに入れる時、カツンとくる衝撃はそのギヤ側面の突起と相手側のギヤと噛み合った時に生じるものです。
 
 
 
 
今回のオーバーホールの目的はこれ。
左の写真では突起が噛み合う部分の角が削れてしまっています。そして相手となる突起の角も削れているのが右の写真。
このような状態ではギヤが入っても入りきらず抜けてしまったりしてしまいます。
しっかりシフトチェンジが終わっていない状態でエンジンのトルクをかけてしまったりを繰り返してしまうとこのような状態になってしまいます。
 
 
 
 
不具合が起こっているギヤを交換していきます。
左が古いギヤで右が新品のギヤ。
 
 
組み上がったアウトプット側ミッションです。
 
 
 
 
こちらはシフトフォーク。交換します。
 
 
 スムーズに動かなくてはならない部分がこうなってしまっては本来の動きができなくなってしまうと同時に、工業製品には自然治癒能力はないので、放置しておくと悪化することしかありません。なにか異常に気づいたらら確認・点検をするようにしてください。
そして、なによりも日頃のメンテナンスが重要です。定期的な清掃やオイル交換などのメンテナンスをお忘れなく。

2018/07/31 21:00 | 整備日誌♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年07月24日(火)

ZZR1400納車整備

ZZR1400納車整備
 
 
 ZZR1400 2006年にKawasakiを代表するメガスポーツバイクとして、バックボーンモノコックフレームに、排気量1352ccで200馬力に届くほどの出力を持つエンジンを搭載し、誕生しました。
 パワーと長距離高速走行の安定性・信頼性もあり、以来、その人気は衰えることなく国内ではZX-14Rとして後継車の販売が続いています。
 
 
 今回はこの車両の納車整備の一場面をピックアップ。
 定期的なメンテナンスで交換するオイルと同じく、一定の期間で点検・交換しておきたいのがプラグです。
 当然ですがガソリンを燃焼させるために火花を飛ばす部品。これがなければエンジンは動きません。
 単純に火花が飛べば良いだけではなく、しっかりと飛ばなくてはガソリンが燃焼しきれずエンジンのパワーを十分に発揮できないばかりか、燃えきらずに残ったカーボンなどが付着してよりエンジンの状態が悪くなっていってしまったりします。
 
 
 車体の前後方向に対して直角方向に配置されているプラグ。
 タンクカバー・フレームの下にあります。
 ZZR1400は比較的フレームとエンジンヘッダ部分の間に手首までどうにか入る隙間があるので、手を突っ込んで交換作業を行います。
 この隙間がほとんどなくみっちり詰まっているのが。。。
 
 
 とりはずしたプラグです。遠目に見ても先がススけているのがわかります。
 燃焼させているので多少のカーボンがつくのは仕方ありませんが、そのカーボンが付着していくことでエンジン内でのガソリンの燃焼状況が変化していきます。
カーボンが付着することで火花が飛びにくくなり燃焼しにくくなって行ってしまいます。
 
 
 取り外したプラグと新品のプラグです。当然ですがはっきり違いがわかります。
じわじわとカーボンが付着していくので実感がないままに進行していきます。
なんかエンジンが眠たいな、、、こんなだったのかな、、、と気づくかどうかわかりません。

 プラグは走行10,000キロを目安に交換がオススメです。

あわせてカーボンクリーニングもおこなうとより効果的です。
「なんかエンジンの感覚が違うな。。。」などありましたらご相談ください。
 
 



つづいてフロント周りのメンテナンスです。
 フロント周りのメンテナンス、そう、ステムとフォークです。
 
 
 
ステムベアリングのメンテナンスです。
 
 
古いグリスを取り除き綺麗に清掃して、
あふれんばかりにグリスを充填します。
湿気やダストの侵入を防いでスムーズな動きを保てるようにします。
 
 
続いてフロントフォークのオーバーホールです。
 
 
いつものようにバラして状況をくまなく確認。
シールやメタル類を交換して組み上げ、完成です。

2018/07/24 19:00 | 整備日誌♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年07月17日(火)

Z1000 D型 整備

Z1000 D型 整備
 
 
 1972年に発売された、900Super4(Z1)/Z900。
そして、1976年のZ1000と「Z」の歴史はとても長く。。。
 そして、2003年にZR1000Aとして「Z」を冠し発売されたZ1000。
このD型はその3代目として2010年に発売されたモデルです。
 
 
 今回はこのZ1000 D型の整備作業の写真で、安全走行必須事項「走る」「止まる」「曲がる」に欠かせない「曲がる」についてのメンテナンスです。
 
 
いきなりバラされてますが、今回のメインはハンドル部分。ステムのメンテナンスです。
 
 
バイクは外装があっても、基本的に濡れてしまう部分が多くあります。
走行に重要な部分も露呈しているか、雨水など水分が浸入しやすいつくりになっています。
溜まらずに抜けてしまえば良いのですが、凹凸がある部分には表面張力によってどうしても水滴がたまってしまいます。
雨水に含まれたり舞い上がった埃や砂を、粘度のあるグリスが巻き込んでしまい劣化。
その水分の浸入によってサビが出てきてしまうことがあります。
写真からもグリスの色が変わっていることと全体量が少なくなっているのがわかります。
 
 
水分の浸入が進み劣化がどんどん進んでいくと。。。
 
 
こんな状態に。。。
グリスとダストが混ざって固まった汚れがこびりつき、錆も出てしまっています。
これはもう交換しかありません。
 
 
新品との比較。比べるまでもありませんが、、、
 
 
徹底的にグリスを充填して混入する隙間をなくします。
 
 
こちらの車両はフロントサスのオーバーホールもおこないました。
 
 
保管状況と日頃のメンテナンスによって良し悪しがかなり変わってきます。
この車両だからではなく、どんな車両にも共通していることですので、愛車の状況を確認して見てください。

2018/07/17 18:00 | 整備日誌♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年07月10日(火)

1400GTR フロントカスタムメンテナンス

1400GTR フロント周メンテナンス
 
1400GTR - Kawasakiが2008年に海外向けに長距離ツアラーでありながらスポーツパフォーマンスも兼ね備えるメガスポーツバイクとして発売されました。
1000GTRの後継車種として長距離を快適に走ることもでき、またZZR1400ベースの高剛性アルミモノコックフレームとハイパワーエンジンを搭載した大人な車両です。
長距離を高速で快適に走るためにはそれなりのパワーだけでなく重量もある意味必要で、見た目からもわかるようにそのボリューム感、重量感があります。
その期待?を裏切ることなく重量は300kgありますが、その重量ゆえ高速走行での安定感は抜群と思います。
 
 
さて今回は、1400GETのフロント周りのカスタムメンテナンスで、フロントフォークのオーバーホールとディスクの交換を行いました。
 
 
フロントフォークオーバーホールのためスタンドとジャッキで持ち上げます。大きいですね。重そうですね。
 
 
取り外したフロントフォーク。ダストシールを取り外しオーバーホールを始めます。
 
 
フロントフォークオバーホールで今回取り揃えたパーツです。ZX-12R B2 フロントフォーク整備 同様、シール類やメタル類を交換します。
10年弱経過していてメタル類の純正パーツは補給部品としての設定がなく入手不可ですが、サスペンション屋さんの好意によって出してもらっています。
 
 
サスペンションは車両重量を支え路面の凹凸を吸収する役割をになっていて、中には強力なスプリングが入っています。
人力ではとてもかなわないのでスプリングコンプレッサーをつかって押し下げます。
今回は、アクティブのハイパープロスプリングキットに交換しました。
 
 
 
 
続いてフロントブレーキディスクの交換。サンスターの プレミアムレーシング です。
とても精密かつ高価なパーツなので梱包も重厚なものでした。
 
 
 
そーっと取り出して。。。ビシッと装着。
とても引き締まります。見た目だけでなく性能も抜群です。
 
 
 
 
フロント周り・カウルをを組み上げ完成です。
 
 

2018/07/10 19:09 | カスタム♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年07月06日(金)

初代デモ車 レストア PART2

初代デモ車 レストア PART2
 
初代デモ車ZRX-1200RレストアのPART2です。
PART1ではエンジンやリア周りのカスタム整備をご紹介しました。
今回のPART2ではフロント周り整備のご紹介。
 
フロント周りのオーバーホールにはいります。
基本的には各部のクリーニングとグリスアップ。
樹脂系パーツなどは交換を行います。
 
 
 
 
ミツマタを分解・清掃。ステムベアリングもチェックしグリースアップします。
ステムシャフトはクロモリに交換。剛性アップにを図ります。
 
 
フロントフォークのオーバーホール。
全バラで腐食や摩耗の確認とクリーニングをします。
そしてフォークシールやガイドブッシュ、ストッパーリングなどのパーツを交換します。
走行時に動く部分はどれだけスムーズに動くかが重要です。
少しの汚れも抵抗になります。細かな事ですがそのまま使用すると摩耗や変形の原因にもなってしまいます。
 
 
そして完成したフォークを組み付けていきます。
 
 
完成!
 
チェーンもドライブスプロケットも交換しました。
 
 
初代デモ車、復活です!!
 
 
 
 
 
跨った感じはこんな感じですね。

2018/07/06 06:00 | カスタム♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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