2018年05月28日(月)

GPZ900R 点検整備・カスタム

GPZ900R 点検整備・カスタム
 
1984年に登場した、カワサキ初の水冷4気筒DOHC4エンジンを搭載したGPz900R。
初代A1から2003年のA16最終モデルまで19年間という長期間販売された人気車両。
「Ninja」の名を冠した最初の車両として、そして、映画でも使われた車両としてとても有名です。
今でも、この車両の人気はあり大切に乗り続けている方なども多いです。
 
今回はそのGPz900Rの点検整備のお話。
チェーン、リアスプロケット、ピボットシャフト、アクスルシャフト交換です。
 
 
チェーン・スプロケット周りの整備
ドライブスプロケットは普段カバーに覆われていて中を見る機会は少ないと思います。
チェーンオイルに埃が絡まったオイルダンゴがこのようにこびりついてしまうことがあります。
機会があれば開けて清掃することをお勧めしますが、普段のメンテナンスでチェーンにオイルを塗布した際に、飛び散らないように軽く拭き上げつつなじませることをすると良いかもしれません。
こびりついているオイルダンゴは清掃し綺麗に拭き取ります。
 
 
リアタイヤのスプロケット・チェーン交換
スプロケットとチェーンは、常にエンジンとタイヤの間に発生する大きな力が加わっている部品になります。
動き続けているため、その部品の動きがスムーズでなくなると、そのひずみが部品同士の接点に影響を与えてしまいます。
金属製品であり、一度傷がついてしまうとほっておいても人間のように傷が治ったりはしません。ついてしまった傷によってさらに動きに影響が出てしまい傷が大きくなっていってしまいます。
 
 
クロモリピボットシャフト交換
ピポッドシャフトの交換により剛性が向上しスイングアームの動きがよりスムーズになります。
 
 
クロモリリアアクスルシャフト交換
リアアクスルシャフトの交換により剛性が向上します。
エンジンからチェーンを伝わってくる大きな力をリアタイヤがしっかりと受け止めて、タイヤが地面を蹴り出そうとします。
その時の応力の反作用でスイングアームに捩れ用とする力が伝わりますが、クロモリの剛性によって抑えられ、よじれることなくスムーズに動きます。
 
 
フロントアクスルシャフトはすでに組み込み済み。
クロモリのシャフトは取り付けがの実感がとてもあるパーツのひとつかもしれません。
まずは、ためしにフロントを試してみてください。おすすめです。
確認をしながら組み上げて完了です。
 
 
バッテリー
左がGPz900Rのバッテリー、右が最近の車両のバッテリー。
大きさ重さにして2倍くらい?

2018/05/28 18:00 | カスタム♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年05月14日(月)

エンジンがかからない?!

 バイク用ETCを使うと、高速道路料金に支払いがとても楽になります。
 料金所で財布を取り出して支払ったりするのはとても面倒。
 いちどETCを使い始めると必需品のような感覚になります。
 
 最近ではICタグを利用した決済方法も多様化し交通系ICカードで電車に乗ったり、コンビニなどでも支払いがキャッシュレス。
 これらもとても便利で、お使いになられている方も多いのではないかと思います。
 
 もちろんガソリンスタンドでも!!
 
 これらはICタグを利用した無線通信で、ICタグに記録されている情報を取得して利用しています。
 ICタグはこのような決済などだけではなく、工場の部品管理や物流倉庫の管理、入退室管理、中には万引き防止の装置などにも使われたりしています。
 
 そして、バイクのイモビライザーも同じような仕掛けになっています。
 
 今回の動画は
 
  「あれ?!エンジンがかからない?!
   さっきまで普通に走ってたのに!(汗
   スタンドでエンジン切ったらそれっきり・・・。」
   
 と、ならないようにという動画です。
 
 
 
 
 スタンドでガソリン代決済用のキーホルダー型ICタグを、バイクの鍵につけておくと忘れることもないし便利です。
 
 しかし、バイクの鍵にはイモビライザーカップリングされたICタグが埋め込まれています。
 車両の鍵穴の周りにはイモビライザーのアンテナがあり、差し込まれた鍵にあるICタグに記録されている情報を取得し正しい鍵かどうかを確認します。
 鍵穴と鍵の形が物理的に合っていれば鍵は回すことができてセルモーターが回ります。
 イモビライザーとのカップリングの正しい鍵であればエンジンがかかる仕掛けになっています。
 
 
 そこに、ガソリン代決済用のキーホルダー型ICタグがあると、、、

 
 車両側のイモビライザーのアンテナが給油用ICタグの情報を読み取ってしまいます。
 すると、イモビライザーとのカップリングが有効でないと判断してしまい、エンジンが始動しなくなってしまいます。
 
 キーホルダー型なので鍵につけるのはとても自然なのですが、それが邪魔をしてエンジンがかからなくなってしまう可能性があります。
 エンジンがかからない時、慌てずに落ち着いてICタグが邪魔をしていないかも確認してください。

2018/05/14 21:00 | 日々つれづれ♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年05月05日(土)

ZX-12R 整備・カスタム 後編

ZX-12R 整備・カスタム 後編
 
 
 前編ではリア周りのカスタマイズをおこないました。
 
 
今回は後編ですがフロント周りのカスタムのお話
 
 
 カスタムのメニューは、ブレーキマスター、ブレーキディスクローター、フロントアクスルシャフトの交換です。
 
 
 カウリングを外していきます。
 
 
 まずは、フロントブレーキディスクローターの交換です。
 純正のフロントディスクローターの直径を純正より少し大きいディスクローターに交換します。
ディスクローターの直径を大きくすることでよりブレーキが効くようになります。
 
 
 フロントタイヤを外すため、慎重にジャッキアップしていきます。
 
 
 ブレーキキャリパーを外し、ブレーキマスターも交換なのでブレーキオイルを抜き取り外していきます。
 
 
 フロントタイヤを外します。後輪同様こちらもブレーキキャリパーをはずし、ホースなど傷つけないよう慎重に外します。
 
 
 フレーキディスクローターを緊結しているボルトを緩めていき、ディスクローターを取り外します。
 
 
 ブレーキディスクローターを緊結しているボルトには弛緩防止剤が塗布されています。
 取りはずしの際、ボルト穴にカスとして固まった弛緩防止剤残っている可能性があります。
タップを利用してボルト穴の山を清掃し、取り付けの際にゴミが噛まないようにします。
 
 
 新品のブレーキディスク。

見比べてみましたが、大きさの違いがわかる写真を撮るのを忘れてしまいました。m(_ _)m
 
 
 新しいブレーキディスクローターを取り付けます。
 
 
 ボルトも新品に交換しました。
 最後は、規定トルクになるようにトルクレンチで締め込みます。
 
 
 ブレーキディスクローターのインナーローターとアウターローターを止めているフローティングピンの開口方向を全て外向きにします。
 普通はありえないことですが、中心方向に開口していると回転による遠心力で抜け落ちてしまわないようにするためです。
 
 
 両面のディスクローターを交換して完了です。
 
 
 フロントフォークに取り付けます。フロントのアクスルシャフトもクロモリ製に交換します。
 
 
 
■フロントブレーキマスタ交換
 
 
 フロントのブレーキマスターを交換します。
 
 
 フロント周りのカスタマイズのビフォアー・アフター。綺麗ですね。かっこいいですね。
 
 
 最後にプラグの交換。

ZX-12Rはそのエンジンの構造からエンジンマウントのクリアランスがとても狭く、プラグの交換は一苦労です。
 
 
 4本のプラグを抜き取ると1本に腐食がみつかりました。
 プラグホールに水が入ってしまいそれがプラグを腐食させてしまっていました。清掃してプラグを新品に交換します。
 プラグ本体のみの腐食でしたが、プラグコードには少し着色が見られます。清掃しておきます。
 
 
 古いバイクでは多く見られたプラグホールの水没。
 水没しないまでも、今回のようにいちばん手前側のプラグホールに浸水してしまうのも、サイドスタンドを立てて停車した際に傾く方向へ水は流れていくからかもしれません。
 雨が降った時や洗車の際などに少し気にするようにしたいですね。

2018/05/05 00:00 | カスタム♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年05月01日(火)

ZX-12R 整備・カスタム 前編

ZX-12R 整備・カスタム 前編
 
 
 ZX-12Rオーナー様。いつも遠方よりありがとうございます。
 今回の整備・カスタムメニューは、エンジンカーボン落とし、リアスプロケット交換、チェーン交換、フロントブレーキマスターシリンダー交換、フロントブレーキディスク交換、アクスルシャフト前後、ピボットシャフトの交換・・・などなど。
 
 ZX-9R F型ZX-9R E型の記事のように長くなってしまいそうなので、今回はカスタム記事を前後編と分けました。
 
 
 今回は前編ですがリア周りのカスタムのお話
 
 
■ピボットシャフト交換
 
 純正のスチール製シャフトからクロムモリブデン製(クロモリ)のシャフトに交換します。純正品とは比べ物にならないくらいの高剛性となります。
 ピボットシャフトの役割は、フレームとスイングアームをつなぎ車体の重量を支えるとともに、タイヤから伝わる路面の影響、エンジンから駆動輪に伝えられる強大な力による反発など、可動・運動部分を緊結している重要な部分です。その部分に加わる力によるねじれ剛性を高めることによって、スムーズな動きを実現し、サスペンションやタイヤなどの性能を発揮させることができるようになります。
 
 
 車体を注意深くジャッキアップして固定します。
 スイングアームを完全なフリー状態や荷重がかかってしまっている状態ですとスムーズな交換作業ができないので、慎重に調整しながら位置決めをします。
 
 
 部品はそれぞれそれなりの重さのあるものが装着されているので、古いピボットシャフト抜いて、新品を差し込んで、と簡単にはいきません。
 車体でとても荷重がかかりクリアランスも多くないので、純正シャフトを完全に抜かずに交換作業を行います。
 
 
 まず、ピボットシャフトを固定しているボルトを外します。
 抜き方向と逆側からあらかじめ準備しているピボットシャフトと同径のシャフトを差し込みながら古いシャフトを抜いていきます。
 差し込んだシャフトが貫通すると、スイングアームがずれることなく古いシャフトが抜けます。
 新品を差し込むのはその逆の工程を行います。しっかりとグリスアップしたクロムモリブデンのピボットシャフトを差し込んでいきます。
 ずれずに貫通すると換装完了です。
 
 
 規定のトルクで締付けるためトルクレンチでしっかりと締め付けを行います。
 
 
 
■リアスプロケット交換
 
 
 チェーンとリアのアクスルシャフトを外しリアタイヤをスイングアームから外します。
 このとき、リアブレーキのキャリパーも外しておきますが、キャリパー本体やブレーキホースを傷めないように注意が必要です。
 
 
 取り外されたリアタイヤ
 
 
 スプロケットを固定しているボルトを外し交換作業を進めていきます。
 
 
 取り外されたスプロケット。
 
 
 こちらは、使用前・使用後。
 
 
 新品のスプロケットをはめ込み、ボルトを締めこんでいきます。
メーカーの指定するトルクでにするため、最後はトルクレンチで締め付けていきます。
 
 
 つぎに樹脂製ダンパーの交換。
 樹脂部品はその車両の使用状況や保管状況によって差はあるものの、経年で劣化していってしまいます。今回はリアスプロケットの交換のついでに、ダンパーの交換を行います。
 強大なエンジンパワーをダイレクトに後輪に伝えてしまうとエッジの効いた動きになってしまうため、このダンパーで、その動きの角を取り丸くすることで扱いやすくなります。
 
 
 交換したスプロケットとカップリングパーツをホイールに戻し、スイングアームに取り付けて交換作業は完了です。
 
 
 
■チェーン交換
 
 チェーンはエンジンのパワーを後輪に伝える重要なパーツで、走行中は常に力がかかり続け、動き続け、まわり続けています。
 ですので、チェーンはある意味消耗部品になるのですが、見た目ではなかなか劣化具合がわからなかったりもします。
 メンテナンスを欠かすことができない部分で、少し気をぬくと錆びてしまったり、動きが悪くなってしまったりしてしまいます。そのような症状が出てしまっていたら、簡単な清掃などは治らないかもしれません。
 まして、そのような状態で乗り続けていると、動きが悪くなったチェーンでスプロケットを削ってしまったり、伸びてチェーンが暴れたり、さらに最悪な状態としてはチェーンが外れたり切れたりしてしまいとても危険な状態になってしまう可能性としては否定できません。
 
 今回は、こちらもスプロケットの交換と合わせチェーンを交換となります。
 
 
 チェーンは地味に重たいパーツです。車両に傷をつけないように慎重に這わせていきます。
 
 
 ひとまわりさせ、長さを合わせます。
 
 
 余分な長さを切りチェーンをつなぎます。十分にグリスを塗布します。
 
 
 チェーンのジョイント部分をかしめて完成です。

 
 

 
 
 チェーンの張り具合を調整して交換作業完了です。
 
 
 日々のメンテナンスはとても重要です。チェーンオイルの塗りすぎにも気をつけてください。
 古いオイルが含んだホコリやゴミがチェーンの動きを悪くしてしまうこともあります。
 エンジンスプロケット側のカバー内も定期的に清掃をしてください。
 オイルを吹すぎて、そのオイルカスがホコリやゴミを含んだオイル団子になって溜まっていってしまい、それが何かの拍子でチェーンに乗って掃き出されて、タイミング悪くリアタイヤで踏んだりしたら、、、さらにタイミング悪くコーナーを走行中だったら、、、そんな万が一になってしまわないように、大切な車両を長く安心して乗るためにも、日々のメンテナンスは欠かさないようにしましょう。
 
 
 おっと、いけない。リアアクセルシャフトの交換作業が残っていました。
 
 こちらも、純正のスチール製からクロムモリブデン製のアクスルシャフトに交換します。
 こちらも純正のシャフトとは比べ物にならないくらいの高剛性化となります。駆動力によるスイングアームのよじれなどが少なくなり、より路面に追従したスムーズな動きになります。
 
 
 しっかりと必要なだけグリスを塗布し純正のアクスルシャフトと換装します。
 
 
 専用のクロモリ製逆止ナットをかけ、チェーンの張り具合を確認しながらシャフトの出具合を調整していきます。
 
 
 タイヤを軽く回転させ、スムーズに回るか確認し、トルクレンチで規定の締め付けトルクになるように締めこんでいきます。
 
 
 これで、リア周りのカスタム作業が完了しました。

新品のチェーンが綺麗です。目に見えないところのカスタムは乗っている人にしかわかりませんが、今回のカスタムはかなり良い実感があると思います。
 

2018/05/01 10:00 | カスタム♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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